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結婚式

二OO一、学生時代の友人から結婚式の案内状が来た。日取りは九月八日土曜日だった。場所は新宿。
 私は前日の金曜日から会社を休み、東京に出かけた。午前十時ごろ東京駅に着いた。地下鉄を乗り換え、神保町で下りた。神田の古書店街で資料集めをするつもりだった。礼服やローファーの入った重いカバンをぶら下げてあてどもなく神田の街をうろついた。
 結局、目当てのものは見つからなかった。
 予約を入れてあったホテルに荷物を置き、書きかけの小説の舞台となっている新宿、渋谷をうろついた。渋谷センター街は数年前に来たときには気づかなかったが極く、短い距離だった。
 歌舞伎町のビル火災現場はNHKのニュースで見るのと同じ形でそこにあった。現場には青いビニールシートがかぶせられ沢山の花が添えられていた。
 その日の夜は疲れすぎてほとんど眠れなかった。
 翌日、チェックアウトして会場へ向かったのだが、躯がとても重かった。
 数年来で見る顔もいくつかあった。
 しばし、旧交を温めた。
 友人はとても凛々しく、花嫁は美しかった。この友人は学生のとき雪山で遭難して凍傷に羅り、足の指を失うという災難に見舞われたのだった。私も数度、彼の入院先に見舞いに行ったことあるが、頭を丸刈りにされ、車椅子を転がす彼がとても痛々しかった。
 それでも彼は、そのとき俺に言った。
「悟った」と。
 目の前に起こった現実は変えようがないけれども、それに対する解釈が変わることによって自分のなかでは目の前の問題が困ったことではなくなる瞬間というのがある。
 魂の次元が一段高くなる、とでもいうのだろうか。その瞬間に己の進むべき路が明らかになる。
 私は病院に彼を見舞いに行ったとき、彼の周波数というか匂いが明らかに以前と違うのを嗅ぎとった。
 一般に肉体に欠損、障害を抱えたものは、それが先天的なものにせよ、後天的なものにせよ魂の次元が一段高いと言われる。
 そこから、彼は己の天命を悟り、大学卒業後、義足を作る職に就くため専門学校に通い直したのである。
 私が己の道を進もうとしたとき、足を引っ張った貧しき魂たちとはえらい違いだった。
 己の天命を悟り、自らの道を往く。己の進むべき道が見えていながら、決断できなかった弱き私とは大違いだった。
 仏経系の高校を出ているくせして式はキリスト教スタイルだった。真面目な貌で「アーメン」という彼を見て私は微笑ましいを通り越して笑いそうになった。
 披露宴も立派だった。
 彼はとても晴れやかだった。
 ただ、私は昨日、そして先週からの疲れを引きずり倒れそうなくらいふらふらだった。披露宴の最中、何度も手洗いに立った。豪華な料理にもほとんど手をつけなかった。二次会は断ろうかとも思ったが、すでに「出席」にOをつけて返事は出してある。
 せっかくの目出度い席にはるばるやってきたのだ。次はいつ会えるか判らない。
 駅を下りてから、青山のビジネスホテルまでタクシーで行った。二次会の式場へは歩いてすぐである。
 二次会もまた披露宴に負けないくらいのお洒落で豪華なものだった。彼の専門学校時代の人間が人魚の衣装で女装して司会をした。 良い仲間を持っているな。私は少しうらやましかった。
 学生時代の新郎ということで二次会では少しだけしゃべった。
 皆、勝手に盛り上がり、誰も聞いていないようだった。
 ゲームのアトラクションで私は彼の専門学校時代の友人と一位を取り、オープンしたばかりの東京ディズニーシーのフリーパスをもらうことになった。宝の持ち腐れのような気もしたが、めでたい席である私は素直に喜びを表現した。
 場所を変えて三次会が六本木であるという。
 私の知っている顔のほとんどが二次会で帰った。二泊もするのは私だけであった。
 披露宴でさえ倒れそうだったのだ。二次会も必死だった。それでも彼のために行ってやりたかった。
 前もって言ってくれれば六本木に宿泊予定を組んだのに。
 タクシー二台にわけてテレ朝通りにあるという三次会の会場まで向かった。
 三次会の店は新郎新婦が独身時代、二人でよく行った店だという。

レジ

レジ二OOO年問題
   

 段ボールの女、
「すごい、はがやしい」
 四月
「店長は? 」
 レジ前でごねる。
「とばしてやりたい」
 文句あったらオマエ代わりにレジ打て。俺がどんな近無条件で働いているのか、知っているのか。
「この人の方がよっぽど丁寧よ」
 でもこいつは読み書きができない。

 道前、休みについて
「ひとの人生何や、と思とるがいね」
「何とも思とらんわ。文句あったら辞めんかい、の一言で、チョンよ」
 私はそう言って掌で首を切る真似をした。

 日曜日、本部には誰もいない。
 平日でも訊こうにも社長とは電話がつながらない。


 チラシのこと。
 景品をつける。
 説明がない。
 電話で訊け、というのだ。
 全店でやるのなら連絡があるのが当然ではないか。
「野村店、緒川です」
「野村店、緒川です」
 電話。
 電話。
 電話。
 領収書に貼る収入印紙の金額。
 本部よりファックス
「十万円以下 三百円
 三十万以下     円
 ・・・・     円
 ・・・・     円」

今回

今回、このプロジェクトに参加出来た幸運を感謝しております。 思い起こせば去年の年末、上司に睨まれながらも会社の忘年会を断り、PCの前に張り付き、申し込み開始画面が切り替わるのを今か今かと待ちあぐねていたの が良い思い出です。 先生の博学には改めて驚いています。

さてセミナーですが、私、当日時間の都合がつきませんので動画のみでの聴講という形でお願いしたいのですがリクエストを受けて頂けませんでしょうか。

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